初出掲載:2021年4月29日 最終更新:2022年4月4日
サラリーマンを辞めて専業投資家になる事をイメージされている方は税金(特に所得税)については支払うイメージがあるのではないかと思います。
しかし、税金の他に思った以上の出費となるのが「社会保険料」です。
この記事では、専業投資家に必要な社会保険料について
①国民年金
②国民健康保険
の話題を中心に専業投資家の目線で書いていこうと思います。
今回は~年金編~です。
※健康保険編①はこちら
【当記事が想定している主な購読者について】
・給与所得を得ている方で専業投資家を目指している方
・配偶者等に扶養されていて金融商品の取引をされている方
・国民年金と国民健康保険の違いが分からない方
免責事項もご覧ください。
まず、基本中の基本ですが
①年金は高齢になった時や障害を負ってしまった時などに、月々決まった金額がもらえる制度です(実際の給付は2か月に1回)。
②健康保険は病気にかかり病院に行ったときに、実際に掛かった医療費の一定割合を保険が負担してくれる制度です。つまり保険証の掛け金です。
給与所得を得ていて現在「社会保険」に加入されている方、簡単に言うと会社から保険証をもらっている方が株式や先物取引等で利益を出した場合は基本的に社会保険料の金額に影響はありません。
社会保険に加入されている方の年金や健康保険の掛け金は、給与の水準で決まるため副業の収入は原則保険料に影響しません。給与が多いほど保険料は高くなります(その分将来もらえる年金も多くなります)。
また、社会保険に加入されている方の保険料は半額事業所(会社)が負担してくれています(意外と知らない人が多いです)。なので実際には給与から引かれている保険料の倍額を支払っているという事になります。
専業投資家や自営業の方は半額負担などありません。そのため相対的に負担は大きくなります。
【国民年金について】
専業投資家になり配偶者に扶養されていない20歳から60歳の方は国民年金の1号被保険者となります。被保険者には1~3号まであり・・・
1号被保険者:保険料を自分で納付しないといけない人
2号被保険者:厚生年金等の社会保険に加入していて、給与から保険料を納付する人
3号被保険者:配偶者に扶養されている人(保険料は不要、親に扶養されている人は含まれません)
となります。
現在配偶者に扶養されている場合(3号被保険者)、年間収入が130万円を超えると扶養から外れて1号被保険者となります。
ここで注意したいことは、税法上の扶養と社会保険上の扶養は別物という事です。
税法上の扶養は、扶養している人の税金が安くなるもので、扶養されている人にメリットはありません。
また、社会保険の扶養とは認定条件等が違います。
(扶養認定の詳細な基準は事業所によって異なることがあります。詳細は各事業所等にご確認ください)
・保険料について:
国民年金の保険料は年齢や収入に関係なく定額で、毎年若干増減します。
20歳から60歳までの方に納付義務があります。
2022年4月から2023年3月までの保険料は「16,590円/月」で、前年度は「16,610円/月」でした。
年間約20万円となります。
口座振替やクレジットカードでの納付や前払いで少し割引があります(^^v)。
・納付しないとどうなる?:
将来年齢を重ねた時にもらえる年金(老齢年金)の額はざっくり・・・
「約780,000円(満額)×(保険料を納付した月数÷保険料を納付すべき月数(最高480月))」
で決まります。
そのため、納付しないと将来もらえる年金が減額されます。
昔は実質払わなかったらもらえる年金が減るだけという図式でしたが、昨今は未納に対する社会的な批判や財政難もあり、納付義務者の財産の差し押さえ等も行われています(TT)。
納付が難しい場合は、減免や納付猶予の制度もあるので役所の年金窓口や年金機構に相談してみましょう(この場合でも納付額が少ない分将来の年金受給額は減りますが、単なる未納よりは優遇されます)。
・何年もらえば元がとれる?:
仮に2022年度の基準で20歳から60歳まで40年間(480月)16,590円を納付したとして総支払額は、
16,590円×480月=7,963,200円 です(こう見ると結構高額ですね(><))。
それに対し、2022年度の給付額は満額納付で年間777,800円(月約65,000円)です。
つまり、
7,963,200円÷777,800円=約10.2年
国民年金は概ね10年もらえば元が取れる計算になります。
・税金が安くなる:
納付した年金保険料は「社会保険料控除」として、全額所得控除に使えます。
所得税の確定申告などで控除として申告すると、納付した額が所得から差し引かれますので、税率を20%とすると納付した額の20%分ほど所得税・市県民税が安くなる計算になります。
・付加保険料というお得な制度:
1号被保険者で国民年金基金に加入していない場合「付加保険料」というものを掛けることができます。
これは超お得な制度で通常の保険料に月400円上乗せして納付すると、将来もらえる年金が増えます。
いくら増えるかというと
付加保険料を納付した月数×200円(年額)
です。
年額200円・・・
たったそれだけ?と思われたかもしれませんが、例えば40年(480月)付加保険料を納付した場合、保険料は合計192,000円(400円 × 480月)となり、それに対しもらえる年金額は、200円×480月=96,000円(年間)増えます。月8,000円増額です。
これは2年間年金をもらえば元が取れる計算になります(^^)。
この制度への加入はお住まいの役場の国民年金の窓口で付加保険料への加入したい旨を伝えれば手続きができます。もちろん手続きは無料です。
・繰り上げ受給と繰り下げ受給
少しだけ、老齢年金をもらう時の話もしてみます。
老齢年金(高齢になったときにもらえる年金)の受給開始年齢は基本的に65歳です。
この65歳よりも早くもらい始める、または65歳よりも遅くもらい始めることができます。
制度改正により2022年度から受給開始年齢の選択肢が増えました。
当記事では主に年金保険料の支払いについて書いていますので、詳細は省きますが、ざっくりいうと・・・
最速60歳まで年金受給開始を早めることができる →→→ その代わり、もらえる年金額が生涯にわたり、一定割合減る。
最遅75歳まで年金受給開始を遅らせることができる →→→ その分、もらえる年金額が生涯にわたり、一定割合増える。
こんな感じです。
人は自分が何歳まで生きるかはわかりませんので、ある意味ギャンブルですね(笑)。
実際は、60歳から75歳までの間、その時その時のご自身の経済状況や他の収入の状況によって決定することが賢明かなと思います。
・管理人の考察:
「国民年金??どうせ自分達の世代はもらえないから払わなくていいや」という考え方があります。
管理人はそう思っておらず公的年金は最強の投資商品だと思っており
「日本で公的年金がなくなる時=日本が"北斗の拳"の世界になる時」(笑)
と考えています。
世の中何が起こるか分からないので、今の給付水準が保たれる保証はありません。
しかし、10年などで給付が終了する定期給付ではなく、死ぬまでもらえて、なおかつ障害を負った時等にも給付が受けられて、10年ほどで元がとれる。
おまけに税金まで安くなる。
国民年金は多額の税金が投入されている事で実現している制度ですが、民間企業ではこのような年金商品は難しいと思います。。
「人生100年時代」と言われるようになりました。
公的年金は「長生きするリスク」に対応するための最強の制度だと思います。
・まとめ:
専業投資家になり、国民年金に加入すると年間約20万円の経費が必要。
国民年金保険料は年齢や収入で変わらない。
国民年金は約10年もらえば元がとれる。
国民年金は付加保険料がお得。
国民年金は受給開始年齢により受給額が増減する。
公的年金は最強の金融商品。と思う。。
さて、今回は国民年金について解説してみました。国民年金の加入や納付は任意ではありません。きちんと納付しましょう(^^)。
次回は国民健康保険について解説してみます。
専業投資家にとって国民年金に比べると国民健康保険料の方が負担は大きくなる場合が多いです。
国民健康保険は税金に匹敵するほどの負担がかかる恐怖の制度です(笑)。
次回~健康保険編~をお楽しみに(^^)。
最後まで読んでいただきありがとうございましたm(__)m
※健康保険編①はこちら