初回投稿日:2021年3月20日 最終更新日:2022年4月4日
前編「日経225(mini)先物取引の仕組み」は参考になったでしょうか?
後編は「基本的な注文方法と板取引」について解説したいと思います。
この記事では、「日経225(mini)先物取引とは」という題名で、日経225(mini)先物取引に興味がある初心者の方に向けて"より分かりやすく簡単に"を目標に前後編に分けて解説しています。
【この記事の主な想定購読者】
・日経225(mini)先物取引を始めてみたい方
・日経225(mini)先物取引の板取引の意味がよく分からない方
・FX等の証拠金取引から先物取引に乗り換えたい方
免責事項もご覧ください。
【基本的な注文方法について】
まずは、覚えておきたい注文方法を3つ簡単に説明します。
この3つを覚えておけば、十分取引が可能です。
①成行注文
この注文は価格を指定せず"買える価格で買う"・"売れる価格で売る"注文です。
価格を気にせずINしたい場合に使用し、ほとんどの場合即座に約定(取引成立)します。
②指値注文
"○円で買いたい"・"✕円で売りたい"のように約定価格を指定します。
価格の条件が合致して約定するまでに時間がかかる場合があります。
③逆指値注文
"現在値が△円以上(以下)になったら成行注文"・"現在値が▲円以上(以下)になったら☆円で指値注文"といった使い方をします。
当ブログでも推奨している損切り設定はこの注文方法を利用します。
注文方法の具体的な使い方は、次の板取引の例と一緒に説明したいと思います。
【板取引について】
先物取引や株取引に欠かせない「板取引」。FXから先物取引へ移行された方や初心者の方には、ぱっと見意味が分からないものかと思います。
板とは市場に参加している人々の注文状況を表にまとめたもので、今いくらなら買えるか、いくらなら売れるかの情報が分かります。
板の例を見てみましょう。
表中の数値は管理人が適当に入力しました(笑)。
板は常に高速で状況が変わりますが今回は説明のため、この瞬間で一時停止し他の注文が入らない前提とします。
表①:
板の基本的な見方は、左の青色の部分、100という数字が注文されている売り枚数、真ん中の30,000が、その売り注文が希望している売価格です。
つまり30,000円で売りたい注文が100枚あるということです。
反対の緑の部分は29,995円で買いたい注文が90枚あるということです。
また、板に数字があるという事は、それらは全て約定(取引成立)していない注文という事になります。この状態から注文状況が動かない限りは1枚も約定することはありません。
板取引を行う上で重要な価格は3つあります。
①買い気配値
買い気配値とは買い注文が入っている価格のうち最大のものをいいます。
表①で言うと29,995円です。
②売り気配値
逆に売り気配値は売り注文が入っている価格のうち最小のものをいいます。
表①で言うと30,000円です。
③現在値
現在値は直近で約定した価格です。表①の場合は便宜上29,995円としています。
先物取引の世界、株式の世界でも同じですが、現在値というと普通の買い物のように、その価格で買ったり売ったりできそうですが、そうではなくあくまで一番最近約定(取引成立)した価格となります。
では、表①に注文を追加してみましょう。
表①の状態から"買で10枚成行注文"を行います。
売り注文の中で一番安く売ってくれる価格は30,000円です(表①の青色部分)。
そのため、黄色の部分に10が入るイメージとなり、青色の100と黄色の10が相殺されます。
その結果、30,000円で10枚が約定(取引成立)し、黄色の10は0に(消える)、青色の100は10減って90が残ります。
30,000円で約定したので、現在値は30,000円に変わります。
約定後の板は以下の状況になります。
表②:
次に指値29,995円で10枚の売注文を出してみます。
すると、以下のように板が変わります。
表③:
指値29,995円で10枚の売注文を入れると、表③の黄色の部分に10が入るイメージとなり、表②で90だった表③の灰色部分は10減って、80に変わります。
29,995円で約定するので現在値は再び29,995円に変わります。
最後に、指値30,000円で5枚の売り注文を出してみると、表④のようになります。
表④:
価格30,000円の注文数(表④の灰色部分)が90から95に増えます。
30,000円で買いたいという注文が無いので、30,000円の売注文数が90から95に増えるだけで、約定はしません。
約定しないので、現在値も29,995円のままで変わりません。
板取引のイメージはこんな感じです。ややこしいですが慣れてしまえば簡単です(^^)。
【注文執行区分について】
ところで、注文を行うときに「FAK」「FOK」(「FAS」)という選択肢が出てくると思います。
日経225(mini)先物の期近を成行で取引する時は「FAK」「FOK」を選ばないといけません。
しかし、これはあまり気にする必要はありません(^^v)。
どちらの注文方法で成行注文しても日経225(mini)先物の期近は流動性(出来高)が大きいため、ほとんどの場合結果は同じになります。
(流動性が少なく、板に隙間がある(価格に対する注文数が0のところが多くある)場合は、想定外の価格で約定する可能性があるので注意が必要です。)
管理人はとりあえず「FAK」で注文しています(笑)。
3つについて説明すると・・・
「FAK」は"フィル・アンド・キル"と読み、注文状況の関係で注文枚数の一部のみ約定した場合に、約定しなかった枚数は"キル"(失効)します。
「FOK」は"フィル・オア・キル"と読み、注文状況の関係で注文枚数の全部が約定しない場合に、全ての注文枚数が"キル"(失効)します(一部のみの約定はしない)。
「FAS」は"フィル・アンド・ストア"と読み、注文状況の関係で注文枚数の一部のみ約定した場合に、約定しなかった枚数は有効な注文として"ストア"(記憶)されます(成行注文では「FAS」は指定できません)。
指値注文の場合は特段の指定をしない限り「FAS」がデフォルトで採用されることが多いので、ここも特に気にする必要はありません。
※注文の執行区分の取り扱いの詳細は証券会社によっては異なる場合があります。
【逆指値注文について】
ここまで、主に成行注文・指値注文について説明してきましたが、これらに「現在値が○○円以上(以下)になったら」の条件を加えたものが、逆指値注文です。
例えば"30,000円で買でポジション"を持っていた時に「現在値が29,850円以下になったら」という条件と成行注文(FAK)を組み合わせて使った場合「現在値が29,850円以下になったら」成行注文(FAK)が発動します(読んだままですが(笑))。
この注文方法を利用して、損切り設定を行うことで最大でも30,000円-29,850円=150円の損失に抑えることができます(相場が急変した場合はこのとおりにならない場合もあります)。
損切りは先物取引を行う上でとても重要な要素です。逆指値はぜひとも使いこなせるようになってください。
先物取引のリスクについてまとめた記事もありますので、ぜひご覧ください。
さて、今回は「基本的な注文方法と板取引」について、説明してみました。
先物取引をしてみたいけど、証券会社の口座は持っていないし、どこがいいのかわからないという方は、「先物取引におすすめの証券会社」をまとめた記事がありますので、ご覧いただけると嬉しいです。
当記事を読んでいただいた方が先物取引を始めることで、少しでも楽しみが増えてくれるととても嬉しいです。
最後まで読んでいただきありがとうございましたm(__)m