すでに日経225先物等の株式指数先物取引を行っている方はよくご存じかと思いますが、過去記事で先物取引のリスクについて掲載したものが無いため記事にしました。特に初心者の方は参考にしていただけると幸いです。
【証拠金について】
株価指数先物取引等は証拠金取引のため、少額の証拠金で証拠金額以上の取引を行うことができますが、差入れた証拠金額以上の損失が発生する可能性があります。
必要な証拠金の額は定期的に「SPAN(Standard Portfolio Analysis of Risk)」というシステムによって計算され、その金額を基に各証券会社や取引コースによって決まります。
例えば「○月○日~×月×日は日経225miniを1枚取引するのに150,000円必要です」といった具合です。
「1セッション限定取引」コースでは、SPAN証拠金の半額程度の証拠金で取引ができる場合が多いです(このため1セッション限定取引を利用した寄り引けシステムトレードは、資金効率が有利です)。
【実際にどのくらい資金が変動するのか(具体例)】
では、実際の取引を例に1日でどのくらい資金が増減するのか見てみましょう。
取引例:
・証拠金残高(投資資金)が30万円とする。
・ある日の寄り付きでミニ1枚を「買い」取引し、大引けで決済する。
・必要証拠金は1枚あたり150,000円とする(資金が30万円なので最大2枚取引が可能)。
結果例①(勝ちパターン):
寄り付き時の日経225mini先物の価格が20,000円、大引け20,245円だったとする
20,245円 - 20,000円 = +245円
日経225mini先物は1枚取引で5円あたり500円の損益となるため・・・
+245円 ÷ 5円 × 500円 = +24,500円
24,500円のプラスとなるため、証拠金残高(投資資金)は324,500円となる。
結果例②(負けパターン):
寄り付き時の日経225mini先物の価格が20,000円、大引け19,810円だったとする
19,810円 - 20,000円 = -190円
日経225mini先物は1枚取引で5円あたり500円の損益となるため・・・
-190円 ÷ 5円 × 500円 = -19,000円
19,000円のマイナスとなるため、証拠金残高(投資資金)は281,000円となる。
以上が日経225mini先物を最低単位で取引した場合の例です。
日経平均株価で1日200円程度の値動きがあることは珍しいことではありません。
例では、最初の資金30万円に対して7%~10%程度の増減となっています。
【追証について】
追証は怖いというイメージは持っているけど、実際に経験したことはないという方が多いのではないでしょうか。管理人も経験はありません。
毎営業日の日中引け(15:15)の時点で、保有しているポジションの含み損益と取引余力を加味し(値洗い)、有効証拠金(ポジションの評価損益を加味した、取引に利用可能な証拠金)が、保有している枚数に対する必要証拠金を下回る場合、翌営業日の指定時間までに不足額を入金しなくてはなりません。入金までの期限が短いので細心の注意が必要です。不足金は総合証券口座に入金するだけでなく、先物口座への振替も忘れてはいけません。
証券会社によっては保有ポジションを解消することで追証の解消ができることがありますが、そうでない場合は、追証が一度発生してしまうと例え全保有ポジションを決済したとしても、追証金は入金しなければなりません。
これが”恐怖の追証”です(笑)。
(詳細な条件は証券会社によって異なりますのでご確認ください)
【ロスカット機能について】
証券会社によっては追証を避ける仕組みとして、ほぼリアルタイム(数十秒おき)に有効証拠金をチェックし、有効証拠金が必要証拠金の○○%(証券会社によって違う)を下回った場合にすべてのポジションの強制決済を行ってくれるというシステムがあります。
通常コースは基本的にロスカット機能はありません。1セッション限定取引コースではいずれもロスカット機能が採用されています。通常コースにロスカット機能を追加できる証券会社もあります。(管理人調べ)
【ロスカット機能は万能ではない】
ロスカット機能があると安心なのですが、相場が急変した場合や銘柄の流動性が極端に低い場合にロスカット発動から実際の約定価格が乖離し、想定を上回る大きな損失となる場合もあります。
相場の急変の例として挙げられるのが、2020年8月28日14:10~14:12のたった2分間の出来事です。日経225mini先物期近が最初の1分で最大300円下落し、次の1分で最大365円上昇する事象が起きました。
これは、当時の安部総理大臣の辞任が報道された時でした。
また、コロナショック中の2020年3月23日は日経225mini先物期近が寄り(8:45)からの1分間で一時230円下落したこともありました。
【1セッション限定取引のメリット】
1セッション限定取引では、基本的に日中引け(15:15)でポジションを強制決済するため、引け時点でポジションを保有することがありません。ゆえに理論上追証は発生しません。
しかし取引所の売買状況や証券会社の都合(システムトラブル等)により、引けで強制決済ができなかった場合、次のセッションで決済されるため結果的に追証が発生する可能性があるようです。
【管理人の持論】
余裕をもって証拠金を入れておくことが重要で、またポジションを持つことと、損切り用の逆指値を設定することはセットだと考えています。
逆指値を設定せず、証券会社のロスカット機能を損切り代わりとして使う場合は、逆に余分な証拠金を入れず、いつでも証券口座に入金できるように別途準備しておく方法もありかと思います。
逆指値を設定せず証券会社のロスカット機能も利用しない場合は、例えば今までに経験したことのない「暴騰」や「暴落」が瞬間的またはたった1日だけ発生しただけで投資の世界から一発退場の可能性もあるので管理人にとっては恐怖でしかありません(サーキットブレーカー等暴騰暴落緩和の仕組みもあります)。
管理人は2020年のコロナショックの時に調子に乗ってしまい、布団の中でスマホを使って、自分の中で禁止している裁量取引を行いました。その際、逆指値を設定したと思い込んだまま寝落ちしてしまい、見事にロスカット機能が発動、目が覚めたら証拠金が数十万円減っていたという苦い経験があります(笑)。ただ、ロスカット機能が発動したおかげで数十万円の損失で済んでよかったと自分に言い聞かせました。そして裁量取引は向いていないと改めて感じました(TT)。
以上、先物取引のリスクについてでした。
最後まで読んでいただきありがとうございました。